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パニック障害
東原医院
院長 東原繁樹
更新日 2007/09/07
パニック障害
東原医院 院長 東原繁樹
今回のコラムでは、パニック障害について症状や症例をもとに、その原因や治療についてお話します。
Ⅰ症例(わかりやすく合成したもので、特定の患者さんをさすものではありません)
1) 40歳の女性。保険外交員。
会社での研修会場で、急に動悸がして気分が悪くなった。ソファで休ませてもらっていたが改善せず、近くの総合病院を受診した。この時には血圧が186まで上がっており、降圧剤を処方された。本社に戻り、しばらく休んでいたが、気分が再び悪くなり、もう一度降圧剤を服用したが、今度は激しい動悸が生じ、手足がしびれ、ふるえが来た。
会社から救急車を呼んでもらい、同じ病院を受診し、再度降圧剤を服用した。血圧も下がり帰りかけたが、すぐに激しい動悸が起こりだした。再び病院に戻り、入院となった。入院中にも激しい動悸は生じていた。内科では心エコー、心電図、頭部CTなどありとあらゆる検査をしたが異常は認められず、退院を言われていた。同内科から、当院に紹介があった。家庭では小さな子どもを3人かかえており、仕事では若い新入社員の指導をしており、毎日追われるような生活をしていた。
2) 38歳の男性。営業担当。
大学卒業後事務用品の営業をしている。秋の慰安旅行の帰りのバスの中で、急に息苦しくなり、どきどきしてきた。サービスエリアの中で気分をまぎらわしていたが、手足がしびれて冷たくなり、しだいに後頭部もしびれてきたので、救急車を呼んでもらい、近くの病院を受診した。血圧が200まで上がっており、この時には降圧剤を服用してなんとかおさまった。
その後も仕事中に何回か息苦しくなることがあり、1週間前には夜中に目があいて息苦しくなり、血圧も上がった。この時にはなんとか我慢し、翌日近くの病院を受診して精神安定剤をもらった。しかし、その後もあまり調子がよくなく、近くの病院から当院を紹介され受診した。現在事務所の責任者をしており、ストレスも多い。朝は7時半に家を出て、帰るのは11時ごろである。特急には乗りにくい。
Ⅱ症状
- 1)
- 突然起こるパニック発作
(呼吸困難、めまい感、動悸、身震い、発汗、窒息感、吐き気、しびれ感、胸痛、死への恐怖感、気が狂ったり、何かしでかしてしまうのではないかという恐怖)
- 2)
- 予期不安
(パニック発作が再び起こるのではないかと恐れ、不安になること。不安になると動悸が生じやすく、動悸に過敏になっているので、ますます不安となって、激しい動悸になり、そのままパニック発作と結びつきやすい)
- 3)
- 日常生活での著しい障害
(発作が起こった時に助けを求められなかったり、逃げられない場所や状況を避ける)
- 電車やバスに乗れない。乗れても一定時間停車しない特急や新幹線を避け、各駅停車を選ぶ。
混雑した電車を避け、いつでも降りられるように入口近くに座る。 - 車を運転できない。同乗者のいる時にはまだ安心できるが、一人での運転が困難。
渋滞している道路や停車できにくい高速道路が苦手。 - 最悪の状況は高速道路でトンネル内で渋滞し、一人で運転している時。
- 症状が強い時には発作がいつ起こるかわからないので、外出できない。
Ⅲ原因
- 1)
- 性格が弱いとか、神経質であるとかは関係しない。
- 2)
- 精神的・肉体的ストレスが重なっている時に、最初の発作は起こりやすい。
(いつも絶えず時間的に追われている時など)
- 3)
- 最初の発作は死ぬのではないかというほど強烈な体験で、救急を受診することが多いが、内科的には異常が認められないので、余計に不安が増す。
- 4)
- 内科などでは精神的なものと言われたり、気のせいだと言われたり、気にするなと言われ、周囲の者からも性格的に弱いようなことを言われるが、患者としてはどうしっかりしていいのかわからない。(発作はコントロール不能)
- 5)
- いつ発作が起こるのかわからず、再び発作が生じると、発作が生じたような場面や場所を避けだす。また起こるのではないかと予期不安が生じると、発作が起こりやすくなり、条件反射的に次から次へと起こすと、悪循環に陥る。
- 6)
- なぜ一部の患者にこのような発作が起こるのか、本当の原因はわかっていない。
Ⅳ治療
- 1)
- 気の持ちようや、安静や休息では治らない。
- 2)
- 薬物療法が中心となり、とにかく発作を抑えてやることが大事。
薬としては、精神安定剤、抗うつ剤、SSRIがある。
- 3)
- 薬に依存することを心配する人もいるが、発作を薬で長期抑えてやると、予期不安の軽減や自信につながっていく。

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