病院検索「医療ナビ.com」
最近話題の感染症
国立感染症研究所
感染症情報センター
主任研究官 森兼啓太
更新日 2006/12/05
最近話題の感染症
国立感染症研究所 森兼啓太
現在、感染性胃腸炎が流行している。国の事業である発生動向調査によるとここ10年間では飛び抜けて大きな流行になっている。原因ウイルスは主にノロウイルスとロタウイルス、なかでもノロウイルスが中心である。ノロウイルス感染症は、約1日の潜伏期ののち嘔吐と下痢が数日間続く。もともと体の非常に弱い高齢者以外では重症になることはまれである。むしろ問題はその感染性の強さで、10個程度のウイルス量でもヒトを感染させるに十分である。つまり吐物や便の処理をした家族などが、少量のウイルスを吸い込むか飲み込むかして次々と感染していくのだ。
ノロウイルスは生カキに含まれることが多いが、生カキ以外が安全とは限らない。感染を防ぐことは難しいが、吐物や便の処理などを通じて他人に(から)感染させない(感染を受けない)ことが肝要である。家庭内で行えることは、食品の十分な加熱処理、吐物や便の処理の際の手袋やマスクの使用と十分な手洗いである。
また先日、東南アジアから帰国した人が帰国約2ヶ月後に狂犬病を発症して死亡した。その直後にもう1例の報告があった。神経症状が強くでるこの病気は、水を怖がるなどの特徴的症状をもち、発症すればほぼ100%死亡する。狂犬病の国内発症は数十年ぶりであるが、日本の周辺諸国では毎年多数の患者が発生しているので、海外渡航者などに数十年間発生がなかった方が不思議と言える。
イヌなどのほ乳類がウイルスを保有しており、これらに咬まれると狂犬病に感染しうる。発症後の治療法は事実上ないので、海外ではそれらに不用意に近寄って咬まれないことと、狂犬病流行地域に行く前にワクチンを接種することが予防対策のかなめとなる。また万一咬まれてしまった場合でも、すぐにワクチン接種を行うと発症を阻止できる可能性が高くなるので、帰国後すぐに、あるいは現地の医療機関でのワクチン接種を必ず行う。
国立感染症研究所 感染症情報センター 主任研究官 森兼啓太
- 病院検索[地域検索]



